開発ストーリー

開発ストーリー 01 木と紙の融合
「経木用紙」

経木の問題点克服と紙の開発秘話

昭和40年代までお弁当箱を主流とした食品容器は「経木」がメインであった。「経木」とは、スギ・ヒノキ等の木材を薄く削ったもので、食品を包む際の湿度調整に最適であった。しかし経木は高価なものであり、安価な紙製もあったものの機能面で経木には適わなかった。
転機となったのは昭和35年、深山の協力会社に高性能の貼合機が導入したことがきっかけとなる。開発者たちは従来では貼り合わせ困難とされていた紙「グラシン」に目をつける。これは厚さ約 0.03 mmの耐油性、耐水性、透明性などに優れている特殊な紙だ。この貼合機によりグラシンと厚紙の合紙が可能となり、通気性に優れた紙の開発に成功する。深山は協力会社にグラシン紙と厚紙の供給を続けた。そしてついに、経木柄の印刷を施した厚紙とグラシン紙を合紙することで経木柄の機能紙ができた。これが「経木用紙」の始まりである

創業以来のヒット商品「シュウマイ弁当箱」

紙製の経木用紙が開発された当初、各食品会社はエゾ松に固執して経木用紙を相手にしなかった。だが、時代の変化ともにエゾ松の供給難と価格上昇がおこる。開発者の試行錯誤とたゆまぬ努力により、次第に経木用紙の販売量が増えていく。中でもヒットしたのがシュウマイ弁当箱の底板だ。当時、シュウマイ弁当箱の底にはグラシン紙が敷かれていた。
当時の開発者たちはグラシン紙を敷く手間に目をつけ、機能性と加工適正のある「経木用紙」はお弁当箱の底板やフタとして採用されていく。しかし、それだけではとどまらずお弁当箱のフレームへと開発を進める。
そこで使用されたのが「Vカット加工」。このVカット加工は折り曲げる箇所に溝を掘ることで厚紙を90°曲げることを可能にする。経木の生産に使用されていた木製用機械は試行錯誤の上紙に適用できるように機械自体の形状も変えていくこととなる。これにより、エゾ松に負けないほどの風合いをもち、高級感ある紙製お弁当箱が出来上がる。そしてついに、シュウマイ弁当箱のすべてを経木用紙で製造することに成功し、経木用紙のお弁当は大ヒットとなる。

受け継がれたVカット技術と設備導入

昭和50年代はお弁当箱の原紙製造、加工が間に合わない程に活況を呈する。ここへ来て深山が経木の加工に加わる。しかし、紙販売がメインだった深山が製品を扱うのは困難であった。長年製造に携わった協力会社と一丸となり、加工技術の向上に努め深山での製造が可能となった。紙の製造、合紙加工、そしてVカット加工が自社で可能となった深山は、お弁当用紙製経木の部材製造メーカーとして大手になる。
現在でも紙製経木は受け継がれている。そして、このVカットの技術を使用し他製品へと幅を広げ、深山は紙の加工の技術向上に努めている。

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