昭和50年代前半、この時期のVカットの仕事は経木フレームが主力だった。しかしながらこの時期、お弁当箱は化成品が増えていく。経木フレーム以外でも化成品は増え、まぎれもなく紙市場の収縮が進んでいた。当時、深山企画部(現:マーケティング部)であった担当者はVカット製品の減少に歯止めをかけるために新商品の開発に力を注いだ。「プラスチック・アクリル板に出来なくて紙に出来るモノコト」をテーマに開発を進める。
しかし、紙の短所として湿度の差による収縮がある。ものづくりに寸法ズレはもっとも難点であるが、その問題点は紙屋としての知識と技術で解決された。伸びを最小限に抑える紙選定と加工技術を用い、開発者は商品開発を進めた。
平成7年、紙製の什器であるVプレートを発表。印刷が可能で組み立てることで立体になるので輸送コストが軽減できる。表面加工した紙はプラスチック・アクリル板のような光沢がありながら、軽量化を実現。また燃えるゴミとして処理できるので環境対応もしている。こうして経木フレームに続くヒット商品Vカット什器を世にだすことに成功する。
その後、現在でも常備品であるVプレートの他、Vステージ、Vラックなどとバリエーションを増やし「VPOPシリーズ」として販売する。これを積極的に宣伝、販売する顧客も現れる。設計の技術を強みとして、協力会社や社内営業とともに営業活動に努める。
そのかいもあり、家電量販店ディスプレー等の受注が数多く決まる。その後は美粧性の高さから化粧品の店頭ディスプレイも増え、アクリル板にはできない小ロット対応を実現する。
平成16年、協力会社にVカット加工機が導入され、ますますVカットを使用した商品の需要は増えていく。什器だけにとどまらずVカットパッケージも生産される。単紙のパッケージに比べ高価なVカットの紙器だが、商品自体に高い付加価値を与え、高級菓子、アクセサリーを主とした高価なもののパッケージとして起用される。特に箱に関しては什器よりも高い精度が要求された。
深山が提案する「紙のパッケージ」はかなり幅広い。それは加工会社との数多くのパイプがあるからなのだ。深山はこれからも協力会社との強い信頼関係を保ち、お客様にとって価値ある商品を届ける。そして、技術の向上と協力会社との生産体制に資するよう努めていく。